先日、オンラインショップで電子書籍のリストを眺めていると「機動戦士ガンダムF91」の上・下巻を見つけました。
紙媒体では既に絶版になっている作品のため、思わずポチってしまいました。
今回は、小説版2巻を読み、劇場版アニメを観直しての感想を書いていきます。
劇場版では描ききれていない点を小説版で補完しているので、両方観賞することをオススメしますね!
【小説版 上巻】
劇場版アニメでは、私設軍隊クロスボーン・バンガードのコロニー襲撃から始まりますが、小説版では、もっと前から始まります。
具体的には、マイッツァー・ロナがブッホ・コンツェルンを営みながら、壮大な計画のために動き出すところからです。
上巻では、8割以上が劇場版では触れられていない前設定などが描かれています。
例えば、カロッゾはなぜ仮面を被るようになったのか?
実の娘であるナディアが出奔した後もマイッツァーはカロッゾに重職を任せたのはなぜか?
ナディアとシオはどのようにして出会ったのか?
アノー家はどのようにフロンティアⅣで生活していたのか?
学園祭でセシリーが壇上に立つのを嫌がったのはなぜか?
etc…
劇場版アニメでは描ききれていない情報が膨大に詰まっているのが上巻です。
細かな解説を入れてしまうと、初めて読んだ時の感動がなくなってしまうと思うので、詳細は書きません。
ですが、劇場版の観賞だけをしている方は、ぜひ上巻だけでも読んでみてください。
富野監督がどのように世界観を描いていたのかが良く分かります。
ここまで描かれていたのであれば、もっと早くに小説版の存在を知っておくべきでした。
そう思わせるだけの内容です。読んでみる価値ありますぜ!
ちなみに私は楽天KOBOで買いました。
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【小説版 下巻】
下巻の半分くらいは劇場版の流れが進みます。
ただし、MSによる戦闘のシーンは少なく、人の戦闘だったり、絡みあいだったりが描かれています。
劇場版の流れと書きましたが、細かいところは異なっています。
中でも劇場版では描かれていない終盤のドレルの戦い、カロッゾの腹心であるジレの最期などはかなり描かれ方が異なっています。
この辺の描写はとても気に入りました。
劇場版では時間の都合上、カットもしくは表現を修正されたのではないかと思います。
ただ、下巻の場合、終盤は走り急ぎすぎた感がありますね。
F91の活躍シーンも少なく、幕引きもイマイチな印象でした。
でも、下巻も読んでみると劇場版の印象がさらに変わること間違いなし!
下巻も楽天KOBOで購入しました。
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【劇場版アニメ】
小説上下巻を読み終えて、改めて劇場版を観賞してみました。
見えてくるのは「劇場版用に表現を工夫している」ということ。
例えば、アーサーの死に方一つ取っても、表現か異なっているんです。
他にも劇場版作品に仕上げるために割愛や修正された点が多数散見されます。
小説を読む前に観た時だと、展開が速すぎてTV版として放送したほうが成功したんじゃないか?と思うこともありました。
ですが、小説版を読んでから観賞して思ったのは、「監督は小説版を読んでから劇場版を観てもらいたかったのではないか?」ということです。
TVアニメとしては、MSの戦闘がほとんどない小説版上下巻を映像化した場合、視聴率が伸びないのは見えています。
ですが、前設定として知っておいてほしいから小説を左記に発売⇒核となる部分を劇場作品として映像化したんだと私は感じました。
それだけ劇場版の描写の受け止め方が変わってきます。
また、これまではカロッゾやマイッツァーへの感情移入ができなかったのですが、前設定を知っておくことで彼らの考え方・価値観を共有することができました。
劇場版だと登場シーンが少ないので、何を考えているのか良く分からなかったんですよね~。
皆さんも、ぜひ小説版を読んだら、劇場版を観賞してみてください。
感じ方がかなり違っていること間違いなしです!
富野監督は、「F91はなかったことにしたい作品」の1つに挙げています。
もしかすると、小説を読む⇒劇場版アニメを観賞するの流れが当時のファンには伝わらなかったのかもしれないなと私は思いました。
そういう意味では、やっとこの作品を表から裏まで知ることができたなと実感しています。
皆さんも小説版を読んで、真にこの作品を知ってみてくださいね。
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